イノベーションを加速する日本・アジア発エコシステムの構築|第2回 Next X Asia イベントレポート
イベントレポート

イノベーションを加速する日本・アジア発エコシステムの構築|第2回 Next X Asia イベントレポート

イノベーションを加速する日本・アジア発エコシステムの構築|第2回 Next X Asia イベントレポート

2019年5月16日(木)にBINARYSTAR株式会社(以下、BINARYSTAR)は、第二回 Next X Asia(ネクスト エックス アジア)カンファレンスを開催いたしました。
 
当カンファレンスは、イノベーションを加速する日本・アジア発エコシステムの構築を目指し、次世代技術における主要なプレーヤー間のコラボレーションを提供する場です。シリコンバレーと中国の成功に続く第三の流れとして、「アジア発で世界中に影響を与えるエコシステムの構築」を目指しています。
 

 
当日は数多くの企業の方に参加していただき、以下のアジェンダで進行いたしました。

アジェンダ一覧

1. はじめに:日本のイノベーションの鍵とNext X Asiaカンファレンス開催の意義
登壇者:赤羽雄二 氏(BINARYSTAR株式会社 アドバイザー・インキュベーションマネージャー

2. くりぷ豚:Dapps Gameがもたらす顧客体験の新境地
登壇者:井上和久 氏(株式会社グッドラックスリー 代表取締役)

3. 産学連携による技術移転から生まれるイノベーションエコシステム
登壇者:山本貴史 氏(東京大学TLO 代表取締役)

4. コネクトームが実現する、感情を理解し表現する人型AIアシスタント「バーチャルヒューマンエージェント」が生み出す世界
登壇者:石黒一明 氏(クーガー株式会社 チーフブロックチェーンアーキテクト )

5. 世界基準のベンチャー創出:これからの時代で最も必要なグローバル目線とは
登壇者:Daryl Arnold 氏(Ocean Protocol 創業者)

6. Q&A
モデレーター:赤羽雄二氏、回答者:山本貴史氏、石黒一明氏、井上和久氏、Daryl Arnold氏

講演内容一部抜粋

 

1.はじめに:日本のイノベーションの鍵とNext X Asiaカンファレンス開催の意義

登壇者:赤羽雄二氏(ブレークスルーパートナーズ株式会社)

日本経済バブルのピークであった1989年には、世界の企業時価総額ランキングの上位20社のうち、日本企業は14社ありました。しかし、2016年の同ランキングでは、アメリカと中国に抜かれ上位20社の中にはランキングされておりません。日本企業は危機的状況に立っているのです。
 
一方国際特許出願件数を見ると、日本は約49700件でアメリカ、中国に次ぐ第3位に位置しており、競争力という意味ではまだまだ劣っていないと考えることもできます。
 
Next X Asiaは「アジア発で世界中に影響を与えるエコシステムの構築」を目指しており、次世代技術を通じて、新たな産業創出や世界的な競争力を企業の創出に向けて大きな足がけとなることを信じております。
そのために、次世代技術間のコラボレーションを追求しております。

2. くりぷ豚:Dapps Gameがもたらす顧客体験の新境地

登壇者:井上和久 氏(株式会社グッドラックスリー 代表取締役)

井上氏は、「ブロックチェーン×エンターテイメントで世界最先端を走る」というビジョンを掲げ、国内初ブロックチェーンゲームの「くりぷ豚」、ブロックチェーンアミューズメントプラットフォーム「Rakun」などを手掛けています。
 
ブロックチェーンやDappsを理解するためには、本から読むのではなく、暗号通貨の購入や実際にゲームをプレーすることが必要であると井上氏は考えており、本カンファレンスでは実際に「くりぷ豚」をプレーする機会を設けていただきました。
 
「くりぷ豚とは」
そもそもくりぷ豚とは、日本初のブロックチェーンゲーム(DappsGame)で,およそ3京6,000兆通りのパターンがある豚をモチーフにした「くりぷ豚」を収集したり、育成して他のオーナーとレースで競い合うことができます。特徴は、暗号通貨でくりぷ豚の売買やレースへの賭けが可能であることです。
 
そして「世界最高の養豚プラットフォーム構想」を目指し、ゲーム×ブロックチェーンというDappsGameの枠組みに豚を組み合わせることにより、養豚場と連携してレースの賞金に豚肉を送るなどの「豚本位制」を目指しています。
 
ブロックチェーン技術は元々信頼を目指したものであるが、目に見えないデジタルデータは信頼を獲得することが現状難しいです。しかし豚肉という目に見えるものを拡散することによって技術的にも実態経済的にも信頼を担保できると主張しました。
 
「Dappsの可能性と課題」
ブロックチェーンには様々な用途があるが、まずDappsGameが普及しやすいと思われます。なぜなら全ての過程がデジタルで完結するからです。
 
また人間の潜在的な欲求として、「資産を保有し続けたい」、「他の人に自分のものを売り込みたい」というものがあり、それらの点で非常に親和性が高いと考えられます。
 
また、売上も既存のものも出始めていることから、一番に社会実装されると予想できます。
 
一方Dappsの課題としては、 現状ブラウザ上でプレイするゲームがほとんどですが、GoogleストアやAppleストアでダウンロードできるアプリの開発が必要であること、ウォレット(ブロックチェーン上の暗号通貨の財布)の開設のハードルや管理が難しいこと、UXのクオリティーが低いことが挙げられます。
 
これらの課題を毎日少しずつ改善し、ユーザーがより遊びやすいゲームにしていきたいと考えています。

3. 産学連携による技術移転から生まれるイノベーションエコシステム

登壇者: 山本貴史 氏(東京大学TLO 代表取締役)

山本氏はリクルートに入社後、採用関係の営業・企画を約10年間担
当、産学連携による技術移転のスキームを本格事業化した後、2000 年に退社。現在は東京大学TLO代表取締役として、有益な知を世の中に広めていくことをミッションに、東京大学の研究成果を特許化し、民間企業へのライセンスに従事しております。
 
「おつき合い」の時代から「協業」の時代に突入し、産学連携によるイノベーションは既に始まっています。昨年だけで東大から30社のベンチャー企業が創出され、AIやゲノム編集といった従来に無い技術も登場しています。
 
本カンファレンスでは、東大発のベンチャー企業例をいくつも紹介していただきました。ここではそのうちの2例を紹介いたします。
 
AIを用いた「魅力工学」
情報理工学の山崎俊彦准教授は「魅力工学」というものをAIでやっています。「心に刺さる」「映える」といった魅力というのは曖昧なので、AIを用いることで「魅力」を定量化し、要因の解析や、増強方法の研究が「魅力工学」です。
 
例えばSNS上で「いいね」が欲しいとなった時、このAIを用いて写真をタグ付けすると、3倍になると言います。
 
また、プレゼンテーションで音声、身振り、使用するテキストをAIで解析することで、どのような印象を与えるのか定量的に判断します。
 
三浦半島の町おこしプロジェクト
文系学部における産学連携の例として、情報学環の安斎勇樹先生は京急電鉄と共同研究し、三浦半島の魅力を最大化する町おこしプロジェクトが進行しています。
 
安斎氏は京急電鉄と東大とのグループワークによるディスカッションを積極的に行い、方向性を決定することから始めました。
 
その際、マーケティングの手法としてペルソナを用い、架空の人物を想定しました。どう一日を過ごし、どういう経験を得ることができるのか、そして三浦半島でしか体験できないことを創生していくことに注力しています。

4.コネクトームが実現する、感情を理解し表現する人型AIアシスタント「バーチャルヒューマンエージェント」が生み出す世界

登壇者:石黒一明 氏(クーガー株式会社 チーフブロックチェーンアーキテクト)

石黒氏は第一回Next x Asiaにも登壇して頂き、その際はクーガーが起こす3つのイノベーション領域のうち、ブロックチェーン領域についてお話ししていただきました。
 
第二回ではARやAIを使って、どのようにコネクトームのプロダクトに導入するのかという内容でした。
 
なぜヒト型インターフェースが注目されるのか
従来のインターフェースは人間の感情や意図まで理解する設計ではなく、コミュニケーションにおいて重要な信頼や意思疎通の構築が困難でしたが、非言語のしぐさやトーン、表情をより人間的に近づけることで「距離」が縮まり、ユーザーのニーズをより深く探ることができるからです。またVHA(バーチャルヒューマンエージェント)が感情表現を行うことで相互の意思疎通ができる状態を生み出すことができます。
 
VHAを通じたサービス提供モデル
従来のサービス提供モデルは人間や企業からの一方的なインピットやサービス提供が行われるものでした。VHAを用いることで以下のサービス提供モデルになります。
 
・「信頼」と「意思疎通」を生み出す
・感情、表情から本来のニーズを読み取る
・企業間での協業やプラットフォーム上での分析やシナリオ作成
 
これによってVHAとユーザーが接点を持ち、信頼の中で生まれるリアルタイムな自然な会話からユーザーのニーズを汲み取り、最適な提供をしていくマーケティングができるようになります。

5.世界基準のベンチャー創出:これからの時代で最も必要なグローバル目線とは

登壇者:Daryl Arnold 氏(Ocean Protocol 創業者)

Daryl氏はマーケティングやサステナビリティに精通した起業家で、ゼロからビジネスを構築することを掲げ、アジア、ヨーロッパ、アメリカから1億ドル以上の売上を達成しています。現在はシンガポールを拠点とし、スマートシティ構想やアクティブエイジング、シビックイノベーション、IoTなどに注力しております。
 
スタートアップ企業にビジネス機会を与える新たなモデル
講演内では、ユニリーバがPadang & Coと協業で、スタートアップ企業や起業家を集め、イノベーションを奨励し、実質的なビジネスインパクトをもたらす新たなパートナーシップを作り出すコワーキングスペース(LEVEL3)を立ち上げあげた例を紹介していただきました。
 
これはユニリーバが大企業とスタートアップ企業の起業家たちの間の摩擦を減らすために設立しました。
 
このコワーキングスペースはユニリーバの本社内にあるので、直接ユニリーバの上層部とアクセスできることが強みで、LEVEL3はDateとAI、食品とアグリテック、持続可能的成長技術、物流とデジタル広告、マーケティングと広告技術という5つの分野についてのビジネスの場となっています。
 
Ocean Protocolの効果
データエコノミーに通ずる市場規模は2030年までに3.8兆ドルになると言われていますが、現状GAFAを中心とした大企業がほとんどの割合を占めており、今後の拡大を踏まえると、スタートアップ企業をはじめ、より多くの中小企業が参画する必要があり、前述の協業の重要性が増すと考えています。
 
Daryl氏はコワーキングスペースによるスタートアップ企業との協業において必要不可欠なことは「データの共有」であると考え、Ocean Protocolを開発しました。
 
これまで多くのデータはプラットフォームを通して収集されてきたが、Ocean Protocolではブロックチェーン技術とデジタルアセットを用いてデータに対する安全性やプライバシー保護も重視されていることが特徴です。

6.Q&A

モデレーター:赤羽雄二氏、回答者:山本貴史氏、石黒一明氏、井上和久氏、Daryl Arnold氏

Q&Aでは、各講演者より様々な意見が話されました。
 
質問は、「ブロックチェーン技術をどのように広めていくべきか」や「シンガポールのスマートシティについて思うこと」などが出ました。


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