「日本のSTOの法規制とアジアにおける国際戦略」 <br>参議院議員 藤末健三 | 独占インタビュー 中編
STOについて

「日本のSTOの法規制とアジアにおける国際戦略」
参議院議員 藤末健三 | 独占インタビュー 中編

「日本のSTOの法規制とアジアにおける国際戦略」
参議院議員 藤末健三 | 独占インタビュー 中編

 

アジアの中で日本以外の法規制について

シンガポールでのSTO法規制について

 
井垣氏

それでは、アジアの中で日本以外の法規制についてお話しをさせて頂きたいと思います。
まず、シンガポールについてですけれども、MASがデジタルトークンオファリングに対するガイドラインを出していますよね。
この内容は基本的にSFA、つまり証券先物法に基づいて規律をするということと、こういう場合はセキュリティートークンにあたるあたらない、どのライセンスが必要ですというような各ケースが書いてあるものです。
シンガポールの場合は、証券に該当する場合は原則として募集を行う際の目論見書の作成と登録が必要です。ここはある意味日本と似ているところですね。
 
例外的に少額募集と少人数私募とプロ向け私募というものがあり、少額募集は12か月間に500万シンガポールドル、日本円でいうと3.5〜4億円くらいの場合。少人数私募は50名以下。プロ向けはプロのみです。
ざっくりとしたご紹介ですけれども、このシンガポールの規制についてはどう思われますか?

 
藤末議員:シンガポールの規制は、やっぱりアメリカのトレンドに引きずられているし、日本も同じような方向に行っています。
ですから、非常に親和性が高いと思います。良い方向には行っていると思います。ただちょっと喋っていいですか?
 
一番大きいところは税制ですね。シンガポールはSTOに対する税務措置で確か5年でしょうか。
STOによる利益に税を課さないなど、いろいろな税制の優遇処置をやっているので、効果の大きさは法制度を整えるよりも、タックスシステム、税制をいかに(STOにとって)使いやすくかという点について進んでいると思います。
 

日本の税制について

 
井垣氏

税制については日本はどうなのでしょう。

 
藤末議員:日本は、もうちょっと変えないといけないですね。なにかというと、今の日本の税制は完全に儲けたやつがそのまま所得に入ります。
そうすると、ある程度の所得になると完全に最高税率ですから、国税で約45%、地方税で10%、下手すれば6割近く取られてしまうのです。
それってなんなのかという話になりますよね。他の金融商品のように、租税特別措置法という法律で決めていますが、儲けた分の2割までしか取られませんよというような仕組みに早く持ってかなくては(STOは)普及しないです。
はっきり言って。それが喫緊の課題だなというのはずっと思っています。
 
井垣氏

今は日本のSTO、仮想通貨もそうですけれども、値上がり益というのは全部雑所得で所得として加算され、課税されてしまうという状況になっています。
そのため、結果的に税率が高くなることがとても多いです。そうではなくて、シンガポールほどでは無いにしても、いくら所得があろうが一律という扱いが望ましいということでしょうか。

 
藤末議員:他の金融商品と同じ並びですよね、少なくとも。そこまで、ちょっと早く持っていかなきゃいけないですよ。急ぎです。
下手すると(STOに関する)法制度の整備よりも急ぐかもしれません。おそらく近いうちにアメリカも(STOにまつわる税制の)優遇措置作りますからね。間違いなく。
 
井垣氏

シンガポールは少額募集があるのですけれども、例外規定として日本にはない制度です。
こういった規定は、今後日本は導入していくことはあるのでしょうか。

 
藤末議員:そうですね。少額は人、もしかしたら意外とそこが抜け穴というか、優遇のやり方としてあるかもしれません。
結局、調達資金に対してどれだけのコストがかかるか、調達コストがかかるかの世界ですから。
やはり、ある程度の金額については導入する可能性もあります。実は、アメリカも少額募集があるんですよ。

井垣氏:レギュレーションDにありますね。

藤末議員:ですから、ある程度同じ仕組みを作るというのは日本はとしてはあるかもしれません。まだ議論はされていません。正直言って。少額募集はあるかと思います。
 

香港でのSTO法規制について

 
井垣氏

次に香港の話にいきたいのですが、香港は2018年11月に香港の金融庁であるFSCが仮想資産についての法定規制を発表して、2019年3月28日にSTOのガイドラインを公表しました。
その簡単な内容は、STOは香港の証券先物法で準拠しますということです。セキュリティートークンを販売する人は、タイプ1の業務認可と登録がいります。対象は現時点ではプロ投資家のみですけれども、この規制についてはいかがでしょうか。

 
藤末議員:私自身は、あると思います。プロ投資家のみっていうのは。おそらく香港は中国の影響があるのでマネロンの心配を相当していると思います。
それで、入ってくるプレーヤーを限定する方向にいったのだろうと思います。
ただ、日本の場合はルールが香港と違うので、日本だと使えないです。プロ投資家だけ、適正投資家だけにしてしまうとそれだけで100人いないくらいですから、閉じてしまいます。
日本らしい仕組みを作っていかなくてはいけないです。我が国の場合は、最後は税制も含めて、STOという新しい分類の規制を作るしかないです。そうしないとアジアのコアにはなれませんから、中核にはと思っています。
 
井垣氏

香港は金融立国ですが、STOに関してはマネーロンダリングが猛威を振るっているので、そこまで思い切ったことができずにいるということでしょうか。

 
藤末議員:と、私は見ています。そうするとやはりSTOの中心は、シンガポールか日本ですよね。外国の人が言っているのは。だから、アジアに拠点作りたいですよね。
 
どっちがいいかなという話で、正直言うとシンガポールは住みたくないと言うのですよ。あんな面白く無いとこ。東京は面白いということです。
ただ、一方で東京は税金が高いし、まだ規制がステーブルじゃないという話ですが、規制は少しずつステーブル、安定してきたのであとは税制を調和させていくことがこれからの課題ですね。これは頑張ります。
 

タイでのSTO法規制について

 
井垣氏

次にタイの方をご紹介します。タイは、2019年3月12日に証券取引委員会SECが初めてICOのポータルを承認しました。
このICOのポータルが何かと言いますと、要は、いろいろなICOがあって、それを仲介することを承認して、今後STOに関する基準を発表する意向というものを示したというような状況です。
 
実はタイでは、ICOに関して結構進んでいまして、デジタル資産事業法というものがあります。
この中で、投資家についてのルールや届出書、目論見書を出すというようなルールを作っています。タイは意外とICO、STOに関してはかなり国として積極的です。

 
藤末議員:申し訳ない、認識してなかった今まで。

井垣氏:実はタイは結構進んでいます。
先日、STOを見て回っているアメリカの投資家の方とお話しさせてもらったんですけど、実はタイがアジアでもしかしたら1番進んでいるかもしれないくらいに国ぐるみで規制を進めようとしているそうです。
例えば、投資家の資格で言うと、機関投資家とベンチャーキャピタル、それ以外の投資家という3つの枠組みがあります。
 
これは日本やシンガポールと比べても特殊な規制ですが、ある意味での一般投資家に対する規制がありまして、一人当たりの割当金額が30万バーツ未満(日本円にするとだいたい100万円未満)、かつ、その利害の同じプロジェクトの投資家に対する割当額の合計が発行体の株主資本の4倍。
またはICOによる調達額の70%の高い方を超えてはならない、つまり必ず機関投資家は一部入らなければならないような規制を敷いています。
 
推測にはなりますが、要するに消費者保護・一般投資家を保護するために、ある意味総量規制のようなものを敷いているということです。
総量規制、プラス、プロジェクト全体の中の割合の規制を課すことによって、一般投資家だけを食いものにするような詐欺的プロジェクトが出てこないようにしています。
このような規制を敷いているのが、特徴的なのかなと思います。
 
というのもタイは当時2017~2018年ごろに、ICOの詐欺がかなり深刻な問題になった国です。
そのため、国をあげてそれの対策をしていたら、いつのまにかアジアの中で結構進んでいったという背景です。

ちなみにこの投資家保護という観点の総量規制はいかがでしょう。今の金商法にはない枠組みかなと思います。
 
藤末議員:ないですよ。そういう発想ないですからね。僕はどちらかというと資金を必要とされる人たちに提供したいという思いが強いです。
ですから、投資家保護っていうよりも投資家がリテラシー高くて、理解した上で投資してくださいの方が正しいと思っています。
ブロックチェーンテクノロジー全然わかってないのにビットコイン買いました、儲けましたっていうのは違うと思っています。正直言って。
 
資金で新しいビジネスを起こす、新しいことを何かやりたいという人が資金を必要としています。
そこに対して資金がきちんと提供されますということを理解した上で、という仕組みをつくりたいと思っています。
究極的には政府いらないと思っています。みんなが同じ土台のルールでやっていて、お互いに情報交換し合い信用は裏切りませんという仕組みです。
 
僕はネットが究極的に発達したら、人の信用を裏切った人は浮かび上がれないような仕組みになると思っています。全部履歴残りますでしょう。
究極的に放っておけばそうなるのではないかなと思っていて、個人対個人が世界中で繋がりますよ。
そして、お互いに信用を、トラストを作っていきますよという世界でやる中で、総量規制や役所の介入というのは、だんだん無くすべきだと僕は思っています、正直言って。
 
ただ、今は未熟なのでそうは言っていられないです。政府がプラットフォームを作って、だんだんと成熟させていく段階にあるけれど、究極のあるべき姿は、ある程度自由にやってくださいねということだと僕は思っています。すいません、理想ですけどね。
 

インドネシアでのSTO法規制について

 
井垣氏

次はインドネシアですけれども、インドネシアは仮想通貨を決済手段として使うこと自体は禁止しています。
ただ、ビットコインは流通していまして、これはビットコインを商品という形で先物市場で取引がされている状況です。
しかし、先物取引所の登録のハードルが非常に高いため、おそらく数十億円単位のお金を積まないと登録ができない状況になっているようです。
STOに関しては全然、ICOに関してもレギュレーションができていないというような状況です。

 
藤末議員:インドネシアは、実は逆にいうと特区があります。金融特区というのがジャカルタの近くにあり、そこで実験的にやっています。
あまり知られてないかもしれないですけど、行っている人がいるのです。だから、逆に言うと厳しい環境の中で特区は穴が空いているわけです。
そこでビジネスの旨味があるような感じがします。ただ、本当にそれが正しいかどうかわかりません。歪んでいる世界に入っているかもしれませんから。
もしかしたら特区に日本の方も行っているのではないでしょうか。そこはちょっと参考までに。
 

台湾でのSTO法規制について

 
井垣氏

次は、台湾です。台湾は、3月ごろに2019年6月末までに金融監督管理委員会でSTOの基準と使用法の設定をするとリリースされていました。
しかし、今7月末ですが、現時点では未確認です。ただ、国としてはSTOに関してはかなり積極的にやろうとされているような状況です。
 
台湾も、年間3千万元以下(日本円にするとだいたい1億円)の少額募集とそれを超える大きな募集(との二種類)があって、台湾も一般投資家の上限は5万元とかで一年間の総投資は10万元とちょっと厳格な総量規制を強いています。
もともと台湾はICOに関して厳しい態度ですけれども、緩和させたようなスタンスでしょうか。台湾についてのSTOやレギュレーションについては何か情報はお持ちでしょうか。

 
藤末議員:台湾については、7月にG20がありました。そのG20の福岡サミット、金融サミットに、台湾の議員が来ていました。ジョンソン・ヒューさんです。
彼が台湾におけるクリプト関係についていろいろと国会で提案している人です。
そういう人がいるのでトライはしているけど、台湾も中国との関係ありますよね。中国との資金の関係もあるので、ロンダリングの観点が非常に大きいと思います。
多分ご存知のとおりですけど。

ですから、ある程度クリプトの関係でいくとマネーロンダリングをどう防ぐかというのがひとつの柱になっているのではないかなと思います。
日本もあまり言わないですけど、日本もありますからね。アンチマネーロンダリングの話は、柱中の柱ですから、消費者保護や投資家保護のような話と共に、AMLの議論は大きな柱になっています。
台湾は特にそれが強いのではないかと思います。はい。
 

STOを禁止している国

 
井垣氏

最後にSTOを禁止している国ということで、韓国、中国、マレーシアです。
中国はブロックチェーン技術の開発という点ではものすごく進んでいる国かなとは思いますが、STOでは先ほどのマネーロンダリングの問題があるので、なかなか難しい。
中国の場合は、国のお金に対する信用があまり無いこともあって仮想通貨がとても人気がある国ですよね。中国のこういった資金調達で、STO含めて何かご存知のことがあれば教えていただけますか。

 
藤末議員:中国は禁止しているようでも、中国のエッジ効いた人たちは、海外でやっていますからね。
だから僕が知っている範囲で言うと、中華系の企業がトークンを発行しましたよ。どこでやっているかっていうと、香港を中心にシンガポールやアメリカを使ってやっていますよという話です。
ですから、中国国内を見たときは動いてないけれど、実は中国企業はやっているなって感じがします。おそらくそれを中国政府は見ています。
正直言って。彼らは割と中国政府の意向を気にしていましたから。ですから中国は国策として海外でトークンのビジネスの展開をやっている感じが強くします。
 
韓国は技術力を持っている国ですが、彼らは日本に来ています。日本でなんか出来ないかという感じでよく聞きます。
実際にトークンをウォレット化する技術は、韓国のテクノロジーが日本に来て普及を始めています。そこら辺のテクノロジーの国境は無くなっているなというふうに思っています。

後編につづく。


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