「日本のSTOの法規制とアジアにおける国際戦略」|参議院議員 藤末健三 <br>独占インタビュー 前編
STOについて

「日本のSTOの法規制とアジアにおける国際戦略」|参議院議員 藤末健三
独占インタビュー 前編

「日本のSTOの法規制とアジアにおける国際戦略」
参議院議員 藤末健三 | 独占インタビュー 前編

 
前編「日本のSTOの法規制とアジアにおける国際戦略」
中編「日本のSTOの法規制とアジアにおける国際戦略」
後編「日本のSTOの法規制とアジアにおける国際戦略」
 

藤末健三議員 略歴

東京工業大学卒業後、通商産業省(現:経済産業省)に入省。
その後ハーバード大学で修士号を取得。
1999年 東京工業大学で学術博士号を取得後、東京大学講師へ転任(翌年、助教授)経営論と政策論を教える。
2004年 東京大学を退職し、参議院議員に。
2005年 中国清華大学と早稲田大学の客員教授兼任。
2011年 参議院総務院長に就任
2012年 総務副大臣および郵政担当副大臣に就任
2013年 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了 博士号(国際関係論)取得
2017年 民進党を離党 参議院会派「国民の声」設立 代表に就任

井垣 孝之 略歴

京大法学部卒業。
京都大学法学部卒業。弁護士・応用情報技術者・Blockchain導入コンサルタント。
自ら起業した株式会社やNPO法人を含め6つの法人経営にも携わる。
マネジメントやマーケティング、問題解決など、ビジネス全般のスキルを踏まえたソリューション提案を得意とする。
また、基幹システムの開発でシステムエンジニアの仕事もこなし、通常の弁護士の業務を大幅に超えた、ビジネス全般にわたるスキルを持つ。
内閣府が所管する「規制のサンドボックス」を用いた新規事業の創出も取り組んでいる。
著書「37の法律フレームワーク」

 

日本のSTOの法規制について

 
井垣氏:本日はどうぞよろしくお願いします。
藤末議員:お願いします。
 

藤末議員について

 
井垣氏

2004年に参議院選挙に初当選をされて、2010年と2016年も当選されて現在16年目、
この議員生活の中で、数々の活動をされていると思いますが、ダイジェストでどんなことをされてきたかを教えて頂けますか?

 
藤末議員:そうですね、民主党が政権取ったのが2009年です。私は2004年から約5年間あったわけですけど、その時はひたすら法律を作っていました。
企業の活性化の法律と教育がメインテーマです。例えば、高校授業料無償化でこれは本を書きました。あとは雇用の問題の法律や外交をメインにやっていました。
 
1番大きいのは、イノベーションを進めるための法案です。例えば産業の基盤を強化する為の法律や中小企業の資金の融通の法律ですね。あとは教育関係にフォーカスしていました。
仲間と一緒に僕は、確か約33本法律作っています。その後、2009年に政権を取らせてもらって、11本は成立させました。残り22本はダメだったのです、逆に言うと。
 
今思うと、政権取らせてもらって、自分たちが用意していた法律を成立させることが出来たっていうのが1番楽しかったですよ。ただ逆に言うと3年で終わったと、非常に残念な感じです。
本当だったら今でも民主党で政権与党にいてプラス7年あったら10年あったら、ほぼ全部やり終えるはずだったんです。それが出来なかったって感じです。ホントに。
 
井垣氏

今、金融系、金商法や資金決済法っていうのをメインで担当されていると思いますが、こういった分野に携わるようになったというのはいつ頃からですか?

 
藤末議員:元々、産業を新しく強くするためには資金が血なので必要じゃないですか。なので、イノベーションの為に資金をどうやって提供するか考えたり、ファンドを作ったり、そういうのをやっていました。
大きくやっぱりこの日本の金融システムを変えなきゃいけないなってことで動き出したのがここ4年くらいですかね。ひとつあるのはフィンテックの影響が大きいです。
 
新しいテクノロジーが金融を変えるって話になった時に、この状況でなにかできることがあるだろうっていう思いは今でもあります。
古い銀行システム、古い証券のシステムっていうのはねはっきり言ってガチガチなんですよ。
 
その中でイノベーションが起きることはないだろうなって思っていて、やるとしたらやっぱりベンチャーキャピタルとかエンジェル投資をどうやってるやるかって話は政権取らせていただく前から関与しています、エンジェル税制なんかは。
 
ただ、それもほとんど効果を発揮しない中で、今回のその新しいフィンテックが生まれてくるっていうのは、僕にとってはすごい大きなチャンスになっています。これたぶん、そういう風に考えている政治家はほとんどいないと思います。
 
井垣氏:ありがとうございます。

藤末議員:ちょっと喋っていいですか?

井垣氏:どうぞ。

藤末議員:今、何を考えているかっていうと、フィンテックって言うとなんかバイタル認証とかそういうイメージが強いと思いますが、僕はブロックチェーンテクノロジーがコアだと思っています。
よくクリプトアセットや仮想通貨の話がありますけれど、あれはなんとなく新しいやつで胡散臭いなってみんな思っていると思います。
 
ただ、私から言わせるとクリプトと暗号技術を使って、国境を超えてインターネット上で価値の交換ができるんです。アセットの交換じゃなくて価値の交換なんですよ。
それをP to Pで価値の交換ができる。個人から個人ですよ。
極端な話を言うと東証みたいな証券取引所通さなくていいんです。これは巨大な地殻変動です。
 
もう一つあるとすれば、ネット上に信用情報が確保できれば、信用の審査機関もいらないんです。純粋にP to Pだけで資金が国境を超えて回るとなれば最適化するじゃないですか。
そうなればイノベーションは急激に起こるなと思っています。それをやりたいですね。
 
だからよくクリプトカレンシーの話をする人が多いですけど、大丈夫なのかって言うけれど、究極の姿は、その国が信用担保しますと、信用会社、銀行が担保しますって話じゃなくて、ネット上で信用も担保される。
そしてそのネット上において国境を超えて個人から個人に資金が流動していきます。おそらくこれで世界がまったく変わります。
そこまでのイメージを実現するのが、今回の自分の仕事だと思います。できればそのハブに日本をしたい。アジア中で。
 
アジアにおいて日本がやはり通信とかのインフラストラクチャ―も充実していますし、あと法整備も充実しているし、地理的環境がいい。
その中でアジアのいろんなクリプトの流通が日本を中心に動くっていうのをやるというのが僕の目標ですね。
 

現在の日本の法規制、STOの法規制について

 
井垣氏

ありがとうございます。では、現在の日本の法規制、STOに対する法規制についてちょっとお話しをさせていただければと思います。

 
藤末議員:そうですね、ちょっとついでに言っていいですか?僕が例えばロンドンのシティやアメリカに行ったり、逆に外国の人たちはどんどんこっちに来たりしています。
香港の人やマルタの人たちとかも会って話をしているのです。これはアジアの人たちみんなに聞いて欲しいのですが、ロンドンで会う人たち、アメリカで会う人たちって初めからグローバル展開です。
 
会社が20人しかいない会社でも、初めからヨーロッパはロンドンで、アメリカはニューヨークで会いましょう。アジアはどこですかとなると、シンガポールですか日本ですかという感じで、初めからグローバル展開を考えています。
その中で日本が選ばれるのを作るのがポイントです。
 
日本だけ、アジアだけじゃないんですよ。初めから我々は全世界で24時間サービスをする仕組みを考えた上でアジアをどうするかというのを考えるのが基本だと思います。
そこは是非、理解頂きたいと思います。
 
井垣氏

では、現在の日本のSTOに対する法規制ですけれども、2019年5月末日付けで改正金融商品取引法と資金決済法が成立しました。
その中で電子記録移転権利というものが定義をされましたね。これは金商法2条各項で定義している有価証券を電子的に移転ができるということにした場合に、それを電子記録移転権利と呼びますということです。
このような形で定義をして、それになった場合は募集行為をするのは原則として第1項有価証券として扱います。 
これはつまり金商法の一種のライセンスがなければ募集することはできないということになりましたけれども、この規制自体についてはどのように思われていますか?

 
藤末議員:まだ細かいところは政令省令で書かれる内容とガイドラインで書かれるので、国会でも議論させて頂いたんですけども、少なくとも他の証券と同じ扱いにするならばトークンの意味が無いですというのは、金融庁に明確に言っています。
これからたてつけとしては金商法っていうこういう大きな傘の下に、セキュリティートークンも入りますってことは明確になったわけです。
 
ただ、実際にどういう規制をかけるかっていうことはこれからなんですね。
傘の下に入りましたよというだけは決まっていて、じゃあその傘の下で新しい規制を作ってルールを作って、こうやっていきましょうと、どう作っていくかは今議論されているところです。
ですから、私自身としては先ほども仰いましたように、日本がすごく透明性の高いルールを作ることが大事であるってことです。
 
そして、もう1つ大事なことは、他の国のルールとの調和がなければダメと言うことです。
日本だけ違いますよという話ではなく、ある程度調和されてなければいけない。実際にロンドンで会ったフィンテック関係者が言っているのは国毎に、申請項目が違うと大変だということです。
同じようにしてくれというのがあったので、実はもう国会でもその話はしています。他の国との調和をさせましょうということで、逆にマルタなんかは日本の制度にだいぶ合わせています。
 
向こうが合わせてくれるところもあるので、そういう形でSTOのルールもどんどん調和をさせなきゃいけないですし、金融庁と話をしていますとおそらくアメリカのルールとの整合性は意識していますよ。
アメリカはだんだん進み始めています。そういう状況にはあります。これからです。これからいろんな人の意見を頂きながら、細かいルールを作っていかなきゃいけないです。
 
ただ、初めからバーンと自由にやりましょうってことは多分できないので、今個人的に思っているのは私募です。
閉じた世界でSTOを募集しながらうまく資金が回り、新しいところにお金が集まり、新しいビジネスが生まれましたという成功事例を繰り返しながら、もう法律の枠組みは既に出来ていますから。
政令とか省令のレベルのものを書き換えていくという話になるのではないかなということを、今金融庁には言っています。
 
井垣氏

今、私募でというお話がありましたので、補足説明をしておきますと、要するに募集をするときは原則として第一種金融商品取引業のライセンスの登録がいります。
登録がいるとなると原則として発行開示、具体的には有価証券届出書や目論見書の届け出をして、さらに継続開示、つまり有価証券報告書の提出も原則としてしなければならないわけです。
 
このようにかなり重い負担が必要になってしまいます。これが原則的なルールですけれど、例外的に私募という形で、開示規制の例外が設けられています。
現在の第一項有価証券の場合の例外が適格機関投資家私募と特定機関投資家私募、そして少人数私募、この3つです。
 
前2つはもうほぼプロしかダメなのでほぼ同じ話ですよね。要するにプロ限定で、しかもプロの間でしか売買はできないと、というすごく閉じられたマーケットです。
他方、少人数私募というのはプロではなくても、一部一般投資家で50人未満であれば良い。
ただ、今はまだ私募の部分というのは電子記録移転権利でいく場合どうなるかっていうのはまだまったく議論もされてない状況でしょうか。

 
藤末議員:言える範囲で申し上げると、これから議論深めなきゃいけないという話ですけど、実際に私募でSTOやりたいっていう人はもういます。
その人たちがどうやってやれるかっていうことを見ながら制度をある程度設計してあげるということをやらなきゃいけないのではないかという話はしています。
金融庁はSTOのルールを作ったので、なんらかの形で日本がリードしていきたいと考えています。
ただ、今回みたいにトークンが盗まれることがあってはまずいことと、いろいろなトークンの株価も大幅に下落して被害が出ているみたいなこともあってはいけないのです。
そういう中でどうしていくかを考えなくてはいけないことですけど、私募はなんとかやろうと思っています。 
実際に、私募でSTOをということを言っている人間を知っています。
 
井垣氏

今の規制というのは、発行開示のルールの話ですけれども、他にも業務体制のルールもあると思いますが、改正法案を見ていると業務体制に関しては、おそらく二項有価証券の電子記録移転権利の場合であれば金商法二種の業務体制でよいということになるのではないかなと思いますがどうでしょうか?

 
藤末議員:おそらくそうなるであろうと思います。
二項有価証券と一項有価証券の切り分けも実は国会で質問しました。
まだ明確ではないのでこれから議論しますという話になっていますよ。実際に国会でも質問しています。その時にこれから議論深めていきますっていう回答になっています。
だからその切れ目が、どこで切るかがすごく大事です。
 
井垣氏:補足をしておきますと、日本のルールの中では一項有価証券と二項有価証券というものがあって、で一項有価証券とは株式だったり債券であったり、流通性の高いものを一項有価証券と呼んでいて、ファンドの持分や集団投資スキーム持分のようなあまり流通性がないものを二項有価証券と呼んでいます。
 
ライセンスも金商の一種と二種で分けているけれども、STOが登場したことによってこの一項有価証券、二項有価証券の境界がすごく曖昧になったことがわかったような状況ですよね。
そのため、とりあえず改正法では一項の方に寄せて募集は原則一項有価証券になりましたが、例外的に流通性をかんがみてという例外ルールがありますよね。
 
藤末議員:内閣府令でおとせるのですよ。作ってもらいました。

井垣氏:そこは今どういう状況ですか?

藤末議員:そこは意識的にグレーゾーンどうするのということで内閣府令でかけますよということにしています。けど、細かい議論はごめんなさい。
 
井垣氏:今後、今の第二種金融取引業者にとっては、おそらくこの例外ルールがどのように規定されるのかっていうのが極めて重要だと思います。

藤末議員:そうですね、日本語で見る人たちが出てくると思いますけど何がポイントかっていうと、みなさん法律ばっかり見ているでしょう。
実は付帯決議で作っているのです。法律にこの法律を執行するときにどういうことに注意しなさいって書いてあるのですよ。これは、国会決議事項ですので従わなくてはならないです。
 
例えば先ほど言ったような、一項有価証券と二項有価証券の区分けの話がこれから現場の話を聞いて検討することって書いてあります。ですから、まさしくそっちをやらなくてはいけないです。意外と、みんな見ていないのですが、意外とあれが一番大事です。
 
たくさん書きましたからね。意外とみんな知らないです。付帯決議を相当書き込んで項目作ったので、これからはベースに、もともと政省令を書く時に縛ろうと思っていたので付帯決議を書きました。
付帯決議によって政省令を縛れますから。法律通してOKということではなくて。それを意識しているので、これからも国会で質問しつつやっていきます。
 
井垣氏

もう1点、STOの場合に重要なのは、セカンダリーマーケットの問題だと思います。
投資して終わりではなくて、投資したものを場合によっては誰かに譲渡するというところが重要ですけれども、この部分の法規制については現行の改正、金商法だと第一種金融取引業の登録が必要だということになっているのかなと思います。

 
藤末議員:なっています。

井垣氏:ただ、実はちょっと問題なのが実際に取引と取引のマッチングをどうするかというところです。
現状、いわゆる板取引、要するに買い手が売り手がこれだけいて、それをマッチングするっていう板取引の取引所っていうものを設置しようとすると、第一項有価証券の取引市場にするなどかなりハードルが高いですよね。

藤末議員:おっしゃるとおり。

井垣氏:では、それを取引市場という形じゃなくて私設の取引所という形でやろうとしても、それはPTSという別の業務の認可が必要ですが、現状ではこれもかなりハードルが高いですよね。
そうするとセカンダリーマーケットの規制というところでいうと日本の規制は今のままだとちょっと厳しすぎませんか。

藤末議員:そうなんですよ、セカンダリー回らなくなっちゃいますね。そこですね、ポイントは。
そこの議論は、今回の法改正の時もあまり深まっていないです。私もそこまで質問できなかったです。ですから、設計をこれからどう作っていくかですよね。

自分自身の考え方を言うとさっき言ったように、究極はP to Pです。その究極のあり方に対して、どうアプローチするかってことを考えた時にセカンダリーのあり方、これはあまり言うと問題になるかもしれないですけど、相対でやることをいかにインフラで支えるかというとこに落ち着くと思います。
本来であれば。そうでないとブロックチェーン使っている意味ないですもんね。

井垣氏:ただ、やりとりは当事者間で直接でいいと思うんですけど、そのマッチングをするある意味仲介をする人っていうのは、システム的に必然的に必要になってくるのではないかと思います。
要するにいくらで売りたい買いたいという。

藤末議員:そうですね、マーケットが必要かどうかというとこですね。

井垣氏:まさに今後、日本にSTOのマーケットを作りたいということであれば、そこはすごく重要な要素になってくるのではないかと思うんですけれども。現状はまだそこまでは議論はできていないわけですね。

藤末議員:出来てないですね。だから、極端な話をいうとインターエクスチェンジみたいなところが出来るかどうかですよね。
今、極端な話で言うとだいぶ是正されていると思いますけど、昔はもう事業者によってプライスが違ったのですよ。びっくりでしょう。何なんだと思いました。それも相当違うでしょう。
 
そしたら適正価格はどこで決めているのかという話になってしまうじゃないですか。
当時から言ってたのは、インターエクスチェンジャーみたいなやつを作っておいて、価格の安定を決めることが必要かなと当時から言っていました。どっちかっていうとプライシングの話はしていましたが、確かにその買い手と売り手のマッチングっていうところで必要ですよね、確かに。
難しいとこですけど。

井垣氏:ぜひ今後ここは議論して深めていただければ。

藤末議員:そうですよね、どこまでできるかですね。そこまで。

中編につづく。
 
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後編「日本のSTOの法規制とアジアにおける国際戦略」
 


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